離婚時年金分割制度を利用するメリット
夫婦で年金受給額に差がある場合、もらえる金額が少ないほうが離婚時年金分割を利用すると、その差額について受け取れるというメリットがあります。いくつか条件がありますが、分割に関する要件を満たしているならぜひ利用したい制度です。
メリットを得るための条件として、相手側の受給額が多く、厚生年金に加入しているということを確認しておくことです。
基礎部分は制度の適用範囲には入っていないため、自営業であったり農業従事者だったりする場合は、分割すること自体ができません。
また、結婚していた期間に共働きの期間がある場合は、3号分割という制度の対象者から外れます。その場合は、合意分割と呼ばれる離婚時年金分割制度を使って夫婦で話し合い、分割する割合を決めることになります。
適用範囲は、婚姻期間中に納めた保険料の実績に基づいていて、2分の1の割合まで分割することが可能です。3号分割が適用される場合は協議せずに半分に分割することができるので、そちらを利用すると良いでしょう。
分割が可能なのであれば、それだけ離婚後の生活が楽になるので、メリットを受けられる立場にあるか良く確認して決めると良いでしょう。受給額が多い側にとっては、不利な制度と言えます。
離婚時年金分割できるのは結婚期間の部分だけ
離婚時年金分割でよく誤解されていますが、老後にもらえる年金を夫婦で半分ずつにするという制度ではありません。分割の対象となるのは、あくまで結婚期間の部分だけです。
20歳で結婚をして、定年までずっと夫婦生活を送っていたなら、ほとんど半分にできますが、結婚をして2年で別れたというようなケースでは、分割できるのもその2年間に納めていた厚生年金の部分だけになります。
結婚期間が短い場合には、あまり影響がないこともありますが、わずかでも老後にもらえる金額が増えるなら、なるべく手続きをしておくようにしましょう。
離婚時年金分割には、合意分割制度と3号分割制度があります。合意分割制度は、その名の通り夫婦の合意で分割するものなので、夫のほう頑張っていたから夫が6割、妻が4割という分割をするといったことも自由です。
夫婦で争いがあっても、裁判をして判決がでたのなら、合意がなくても合意分割制度が利用できます。しかし、裁判になるとほとんどの場合に、半分ずつの分割になるようです。
離婚時年金分割には、離婚をしたときから2年という期限が定められています。離婚をした後は、夫婦で連絡がとれなくなることもあるので、なるべく離婚をするときに慰謝料、養育費、財産分与などの取り決めと一緒に、手続きをしておくようにしましょう。